近年では外壁材の需要はサイディングが外壁建材の約90%近くを占めており、多くの家の外壁でサイディングが利用されています。
さらにサイディングの中でも金属系サイディング約13%程度に対して、窯業系(ようぎょうけい)サイディングが約80%弱とサイディングの中でも窯業系サイディングが大きな主流となっています。
日本窯業外装材協会 より引用
ここでは、窯業系サイディングの特徴や外壁劣化の種類、補修方法についてご説明いたします。
<PR>大阪で外壁塗装ならミズノライフクリエイト
- 国家資格保有者による施工
- 自社施工で安心価格実現
- 創業68年!施工実績1万件以上
目次
窯業系サイディングとは 特徴と長所・短所
窯業系サイディングとは
窯業系サイディングは、セメント質と繊維質を主な原料として使用した外壁材のことです。
1990年ごろからニチハ株式会社が、防火外壁材(窯業系サイディング)「モエンサイディングMシリーズ」を販売をはじめます。
板状に成型する技術の進歩により、デザインが豊富で木目調・石目調・タイル調などの複雑なテクスチャー(柄)が選べるということで商品化が進みました。
建築基準法の防火地域、準防火地域等の対応もあり、防火性能(耐火性能)に優れた窯業系サイディングの需要が高まり、外壁はモルタル仕上げから窯業系サイディングへ移行してきました。
(関連記事)モルタル外壁の特徴や劣化症状〜外壁塗装・補修方法まで徹底解説
窯業系サイディングのメリットとデメリット
窯業系サイディングのメリットとデメリットは下記の通りです。
メリット(長所) | デメリット(短所) |
|
|
窯業性サイディングは、耐火性能があり外観の種類も豊富で、比較的経費と工期を抑えることができます。
反面、窯業系サイディングはセメント質が主成分で出来ており、材質自体に防水性能はないという欠点もあります。
そのため、防水性能を補うための外壁塗装やコーキング部分の劣化には気をつける必要があり、10年に一度位の定期的な塗装やコーキングのメンテナンスが必要です。
窯業系サイディング壁の施工方は下記の通りです。
- 透湿防水シート張り(通称タイベック)
- 通気胴縁を取付けます
- 窯業系サイディング用の取付金物の取付(釘打ちの場合もあります)
- 窯業系サイディングの取付
- コーキング(シーリング)による、継目処理を行います
窯業系サイディングによくおきる劣化症状
ここでは窯業系サイディングによくおきる劣化症状をレベルごとにご紹介します。
- 劣化レベル1:窯業系サイディングの撥水性能がなくなる
- 劣化レベル2:チョーキングや変形が起こる
- 劣化レベル3:コーキングの劣化と共に窯業系サイディングの反り(2~5mm)・割れが起こりだす・雨漏れも起こりだします
- 劣化レベル4:窯業系サイディングの崩落
劣化レベル1: 窯業系サイディングの撥水性能がなくなる
劣化レベル1は、窯業系サイディングの撥水性能がなくなると言う劣化です。
■無塗装の窯業系サイディングにリシン吹き塗装のコケの様子
撥水性の少ない窯業系サイディングは、コケ・カビの発生が起きると外壁が常時水分がある状態になります。
外壁にはいい状態とは言えません。
特にリシン吹きの塗装や、ジョリパット系のつや消しは、コケ・カビが起こりやすいので早期のメンテナンスを行う必要があります。
劣化レベル2:チョーキングや変形が起こる
劣化レベル2は、チョーキング現象やサイディング材の変形です。
チョーキング現象
窯業系サイディング、コーキング、モルタル壁にも言えますが、表面の塗装の白亜化(劣化)により、チョークの粉が手につくように白く手につく状態を言います。
チョーキングが起こりだすと、表面の撥水性がなくなり、窯業系サイディングの場合、トースト現象と言われるサイディング表面に変形(反り・割れ)が起こりだします。
窯業系サイディングの表面の塗装の膨れ(ふくれ)
窯業系サイディングの表面の塗装の膨れにも注意する必要があります。
撥水性がなくなった窯業系サイディングは2~3日続く長雨や台風のときには、本体に水分が多量に含まれます。
サイディングと塗膜の間に剥離が起こりやすくなり、気温の変化による結露や空気の膨張により気泡や水ぶくれが起こりやすくなります。下記は撥水性能の低下している塗膜の膨れの画像です。
■無塗装の窯業系サイディングにジョリパット吹き付け塗装の膨れ(ふくれ)の様子
劣化レベル3:コーキングの劣化・窯業系サイディングの反り(2~5mm)や割れ・雨漏れの発生
劣化レベル3は、コーキングの劣化や、窯業系サイディングの反り(2~5mm)や割れ・雨漏りの発生です。
雨水の侵入によるサイディングの割れ
窯業系サイディングは防水性能が弱いので、サイディングの切り口や裏側には、塗装等の防水処理がされていないのがほとんどです。
雨水の侵入によって窯業系サイディングは膨張、変形を繰り返して、釘打ち部から割れが起こりやすくなります
慢性の雨漏れによる窯業系サイディングの反り
大雨の時しか雨漏れが起こらなかったので放置していた外壁の様子です。サイディングの反りが5ミリ以上変形(反り)していたのですが、2~3日の雨降りにも雨漏れが起こりだしました。
サイディング下地(断熱材)の雨漏れ
下記は、サイディング下地(断熱材)の雨漏れの様子です。窯業系サイディングの下地のグラスウール(断熱材)は雨水の侵入により、かなり水濡れの状態になっており、変色しています。
窯業系サイディングの劣化(反り)より、①雨水が侵入すると、②グラスウール(断熱材)に雨水の侵入、③グラスウール(断熱材)に雨水が飽和状態により室内に雨漏れがはじまるようになります。
窯業系サイディングの亀裂(クラック)
下記は、窯業系サイディングの亀裂(クラック)の写真です。
■無塗装の窯業系サイディングにリシン吹き塗装の亀裂の様子
窯業系サイディングの下地は木部で施工されている場合が多くあります。
表面の撥水性がなくなると窯業系サイディングは防水性能が弱いので、下地の木部が変形や腐食するケースもよくあります。(劣化レベル4:「窯業系サイディングの崩落」)
その場合の症状の前段階として、サイディングの亀裂が起こりだします、窯業系サイディング亀裂は「劣化のシグナル」です。
劣化レベル4:窯業系サイディングの崩落
サイディングの劣化を放置しておくと、サイディング材の崩落が起こることもあります。この状況になると、最悪人身事故にも繋がりかねませんので非常に危険な状態です。
雨漏れによるサイディングの落下
下記は、外壁からの雨漏れが原因により、窯業系サイディングの下地(桟木)の腐食による落下の様子です。
近年の台風やゲリラ豪雨には、軒なし(軒ゼロ)・ケラバ部なし住宅にはこのような事故が起こりやすくなっています。コーキング劣化・窓枠からの雨漏れは、劣化のサインとお考え下さい。
窯業系サイディングの落下(軒なし・ケラバ部なし住宅)
次に大阪市内やデザインの優先の住宅によく見かける、軒なし(軒ゼロ)・ケラバ部なし住宅についてもご紹介します。
40年前の住宅は軒天やケラバ部がありましたので、少々の雨でも室内に雨水の侵入はすくなかったのですが、近年の住宅はデザインの優先されているからか土地価格高騰によるのか、軒なし住宅やケラバ部なし住宅がが多くなりました。
軒なし・ケラバなしの住宅は、軒あり・ケラバあり住宅に比べて雨水の処理性能が落ちます。近年の台風やゲリラ豪雨による雨水侵入によって、窯業系サイディングの雨漏れや落下の相談がかなり増え出しました。
(補足)台風による窯業系サイディングの損傷
窯業系サイディングは飛散物や衝撃に弱いというデメリットがあります。近年よく上陸する、台風による飛散物による窯業系サイディングの破損する事例も増えました。
窯業系サイディングは厚み14mm前後の厚さがほとんどです、台風による風災害には損傷が起こりやすいといえます。
窯業系サイディングの外壁塗装で良く起こるトラブル
つぎに、窯業系サイディングの外壁塗装で良く起こるトラブルをご紹介します。
塗装の施工不良によるひび割れ
下記のの画像は、当時流行していた新開発の塗料です(今は販売されていません)。塗装業者の説明不足か工事業者の理解不足により施工不良が起こっているケースです
代替えの塗料の交換してもらっても、足場費用や塗装職人の経費もかなりかかります。あまり新商品、実績の少ない塗料は、よく検討してから選択したほうがいいと思われます。
パッチテスト(付着テスト)の様子
パッチテスト(剥離テスト)は、塗装予定の塗料と外壁との付着度・密着度を事前確認するためのテストのことです、パッチテストのことをクロスカット試験(碁盤目テープ試験)とも言います。ご自宅の外壁と塗料の相性不具合問題を回避するための非常に重要な試験です。
試験結果によっては、利用予定であった塗装に不可をかけることがあるので弊社は塗膜試験とも言っています。
コーキングの施工不良
つぎに窯業系サイディングのコーキング部の施工不良です。
下記は、2液型のコーキングの攪拌の不良または劣化の様子です。下地が見えています。このような場合はできるだけ早期のコーキングのメンテナンスか外壁塗装の検討をお勧めします。
コーキングの亀裂の主な原因
- プライマー(コーキングの接着剤)塗布の忘れ:コーキングを注入する前にコーキング用のプライマー塗布の工程を飛ばしている
- 雨仕舞いの不備:雨水の侵入により、窯業系サイディングの内部の下地の変形、窯業系サイディングの変形によるコーキングの亀裂
- 撥水性がなくなっている:窯業系サイディングの塗装の劣化による、サイディング変形が原因
サーモカメラによる窯業系サイディングの診断
ここからは、サーモカメラによる窯業系サイディングの劣化診断についてご紹介します。
下記は、サーモカメラ(赤外線カメラ)による窯業系サイディングの劣化状況の写真です。
左の画像のように、目視だけで外観を見ても外壁劣化の状態は分からず雨漏れの箇所を特定できません。
赤外線診断(サーモ画像)の画像を見ると、雨水の侵入により、熱画像が濃い青色に表れているところから雨漏れが起こりだしていることがわかります。
このように雨漏れが起きている場合、可視画像からだけでは雨漏れの判断は困難といえます。ほとんどの外壁塗装の工事では、可視による調査しか行われていませんが、外壁劣化の状態をしっかり確認して修理したい場合は、可視画像(目視調査)+赤外線サーモ診断をお勧めします。
窯業系サイディングの補修工事
下記は、窯業系サイディングの張り替えの様子です。
窯業系サイディングの劣化や雨漏れが頻繁に起こりだすと住宅の耐震性能に影響が出始めます。
最悪の場合外壁塗装やコーキングで収まらない現場も時々あります。サイディングのメンテナンスは大事になる前に早期におこなうことをお勧めします。
まとめ 窯業系サイディングの外壁塗装
まとめです。今回は窯業系サイディングの外壁の特徴やよく起こる劣化、補修方法や塗装工事例についてご紹介いたしました。
窯業系サイディングは防水性がなく、塗装やコーキングで防水性能をカバーしているため、外壁塗装・コーキングは10年を目安に考えることをおすすめいたします。
近年の台風等による、激しい雨水の侵入により窯業系サイディングの雨漏れには注意が必要です。とくに雨漏れが気になる場合、上からそのまま塗装をするのではなく、事前に外壁の調査をした方が安全です。
弊社も大阪を中心に皆様のお家の外壁診断調査や、外壁塗装工事をさせていただいております。
もし家の劣化を気にしておられる場合は「ミズノライフクリエイト」もご検討いただけましたら幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。