「外壁も汚れてきたしそろそろ外壁塗装工事をお願いしようか。でも結構大きなひびが外壁にできているけど、これ本当に塗装で直るんだろうか?」
外壁が劣化すると「外壁塗装」を考えますが、自分の家の外壁が塗り替えだけ済むのか疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。
ここでは塗装の専門家の目線で、外壁劣化の種類を塗装で直せる壁と塗装だけでは直せない壁の二つにわけてご紹介したいと思います。
■このコラムで知ってほしいことは、一級建築士が進める「外壁塗装の基礎知識(外壁劣化の種類と攻略法)」です。
- 塗り替え工事で済ませていい劣化(塗装工事でいい場合)
- 塗り替え工事で済ませはいけない劣化(補修工事+塗装工事が必要な場合)
- コーキング(シーリング)ではなおせない(雨仕舞いの知識)
どの部分が痛んでいるのか、自宅の劣化の状態を見ればご自身で判断ができるようになってほしいです。
これは塗装だけでは無理かもしれない・板金工事などの各種工事も必要かな、といった判断の一助になれば幸いです。
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目次
外壁劣化の種類について
外壁劣化の種類はいくつもありますが、ここでは大きく「塗装で直せる壁」と「塗装だけでは直せない壁」の2つの切り口でどのような違いがあるかをご紹介します。
外壁の劣化にどのような種類があるか大別してまとめるとと下記のようになります。
塗装だけで直る劣化 | 塗装だけで直らない劣化 |
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ここでは、上記の現象の原因と対処法について一つ一つ解説していきます。
(※注意)後述で説明しますが、実際の現場では一見塗装だけで直る劣化と思われても、実は見えない内部で劣化が進行していた・塗装の劣化以外にも下地との相性問題があった、などの色々なケースがあります。
ここではあくまで一般的な話としてご参考いただき、ご自宅の外壁劣化の状況を正確に把握したい場合は専門業者に診てもらってください。
塗装で直せる外壁劣化の種類
まずは、基本的に外壁塗装だけで直せる外壁の劣化の種類についていくつかご紹介します。
チョーキング現象
一つ目にご紹介する劣化は「チョーキング現象」です。チョーキングの様子とは、外壁の塗装面を触ると白い粉がつく現象のことを言います。
チョーキング現象の原因
チョーキング現象の原因は塗料の劣化です。塗膜(塗装面)が紫外線を浴び続けることで塗料の中の合成樹脂が徐々に分解され、粉状の白い粉となります。劣化した塗装の表面を触ると白い粉が指に付着するようになります。
すでに塗膜が劣化していますので水で外壁を洗っても対処にはならず、すぐにまた白い粉が発生します。
チョーキング現象がおきたときの対処法
チョーキング現象が起きたときの対処法は「塗り替え」になります。
塗装の際はまず最初に高圧洗浄で劣化した塗料を洗い流してから塗装をする必要があります。劣化した塗料が残った状態で上塗りすると、短期間でまた塗装がはがれてしまう可能性があるので注意が必要です。
エフロレッセンス(白華現象)
壁面がコンクリート・タイルの場合の劣化で、壁面表面に消石灰が見られるエフロレッセンス(白華現象)があります。
コンクリート壁やモルタル仕上の外壁の内部より水酸化カルシウム(消石灰Ca(OH)²)が溶け出して外壁の表面から流出しだした状態です。
タイル目地・モルタル仕上げの亀裂などから白華が流出します。
外壁にこびりついたカビ・苔
二つ目にご紹介する外壁の劣化は、苔・カビの付着です。苔やカビが繁殖すると、美観も損ね、衛生的にもよくありません。
苔・カビが発生する原因
苔・カビが発生する原因は、周りの湿気や不純物の付着による菌類の繁殖が挙げられます。
湿度が高い・日陰になる場所は特に苔やカビが繁殖しやすくなります。
また、塗装したばかりの頃は、塗装表面が平らになっており不純物など付着しにくい状態で、すぐに汚れるということは基本的にありません。
しかし年月が経ち、塗装が劣化してくるとだんだんと塗装の表面がざらざらしてきて苔やカビその他の汚れが付着しやすくなってきます。その結果、苔やカビ・その他の汚れが付着しやすくなります。
苔・カビが発生した場合の対処法
苔・カビが発生した場合の対処法は、範囲が狭い場合であれば自分で洗浄することで対処できる場合もあります。
ただし、高所や外壁全体に苔・カビがこびりついている・何回洗ってもすぐに苔・カビが発生するという場合は、専門業者に高圧洗浄や塗り替えを依頼した方が良いでしょう。
最近では、高圧洗浄以外に、バイオ洗浄や洗剤を使用した外壁の洗浄が主流になってきています。
というのは、塗料の耐候性能が10年前と比較すると、外壁屋根で利用する塗料の超耐久化が近年進んでいるからです。
超耐久性を持つ塗料を採用するときには、基本性能を発揮するために洗剤を使用した洗浄かどうかも確認しておきましょう。
■洗浄剤を使用した洗浄では、下記のように高圧洗浄と洗浄剤を組み合わせて行います。
- 初期の洗浄(高圧洗浄 1回目)
- バイオ洗浄や洗剤を使用した外壁の洗浄(洗浄剤を使用しての洗浄)
- 洗浄剤を洗い流します。(高圧洗浄 2回目)
カビ・苔(コケ)・汚れ等々をきっちり洗い落とすことで、塗装時に塗料の付着力を向上させる効果があります。
塗装面の小さなひび割れ(ヘアークラック)
3つ目にご紹介する劣化は、塗装の小さなひび割れ(ヘアークラック)です。
塗膜が劣化したり、雨や風などの衝撃で、時間が経過すると損傷や亀裂している部分から雨水が侵入してきます
外装材の内部の水分が膨張、収縮することによる、外装材の表面に小さなヒビが時間の経過とともに大きくなり亀裂やひび割れ発生します。
塗装面のひび割れ(クラック)が起きる原因
塗装面のヒビ・浮きの多くは塗料の劣化によって引き起こされます(撥水性がなくなった外壁面は外壁表面に弾力性が弱くなります)。
また紫外線による劣化のほか、雨や風などの外部からの衝撃で、塗膜にヒビなどが発生してきます。
(※)ただし、塗装工事をして1,2年のうちに塗装のひび割れが起こっている場合は、下地との相性や別の要因である可能性が高いです。その場合は塗り替え以外の対処をする必要があるので、注意が必要です。
塗装面のひび割れ(クラック)が起きたときの対処法
塗装面のひび割れが起きたときの対処法は、塗装の経年劣化が原因であれば「塗り替え」です。
ただし、塗装工事後短期間でひび割れが起きている場合は、下地との相性問題や他の原因の可能性が高いので、その場合は原因を探って対処する必要があります。
塗装面の剥離(はくり)
4つ目にご紹介する劣化は、塗装の剥離(はくり)です。
剥離が起きる原因はいくつか考えられます。単純に経年劣化が原因の場合もあれば、施工不良が原因で起こりやすい現象でもあるので注意が必要です。
塗装面の剥離が起きる原因
塗装面の剥離(はがれ)の原因は大きく二つ考えられます。
一つ目は塗料の劣化です。紫外線による劣化のほか、雨や風などの外部からの衝撃で、塗装の剥がれが発生するケースです。
二つ目の原因は、外壁に塗料がしっかり定着できていないことに起因する剥離です。
たとえば、下地との塗料の相性問題や、塗装の仕方などの問題が考えられます。塗装工事をして一年も経たないのに塗装面が剥離が起きてくる場合などは、施工不良など経年劣化以外の可能性が高いので注意が必要です。
塗装の剥離(はがれ)の原因については、別の記事で改めて詳しくご紹介をしたいと思います。
塗装面の剥離きが起きたときの対処法
塗装面の剥離が起きたときの対処法は、原因によって異なります。
単純に塗料の劣化の場合は塗り替えで済む可能性が高いですが、塗装工事をしたのに短期間で剥離が起きた場合は、別の原因が考えられます。この場合は、調査したうえで対処する必要があります。
塗装の変色(周囲と色が違っている)
5つ目にご紹介する劣化は、「塗装の変色」です。
塗装の変色の原因
塗装の変色の原因は塗料が「耐用年数をすぎて塗料劣化によること」が一般的です。
塗装の変色がおきたときの対処法
塗装の変色が起きたときの対処法は「塗り替え」になります。
外壁塗装は一般的に10年に一度のタイミングでメンテナンスすることが多いですが、もしメンテナンスの回数を減らしたい場合はフッ素や無機塗料などの超耐久の塗料を検討してみても良いでしょう。
今の外壁は何の塗料が使われているか
そもそも今の外壁は何の塗料が使われているかわからない方も多いのではないでしょうか。
初めて新築や住宅の購入する際に、ほとんどの施主さんは「外壁の塗料が何を使っているか?」わからず購入されています。
外壁の仕上げよりも間取りやキッチン等々が家族会議の中心であることが多いです。
例外もありますが、建設業者も限られているご予算の中で精一杯の希望を叶えようとした結果、塗料は後回しはよく聞く話です。
塗装の寿命はどのように考える(塗料の見方について)
「築15年の建物で塗り替え歴無し」の方から弊社に多くご相談を受けます。
15年前に使用されている塗料は、ほとんどが安価なウレタン塗料(良くてよくてシリコン塗料)と考えた方がいいと思います。
いずれにしても、ウレタン系塗料、シリコン系塗料、耐久性の高いフッ素系の塗料にしても、永久消費財ではありません。
これらは一定の条件の試験体の試験の結果より(紫外線による劣化)により、耐用年数(撥水性の効果)「7年・10年・15年」が決まっています。
「塗料の対応年数の試験に、促進耐候性試験があります人工的環境をつくって「人工光源の光(キセノンランプ法 1種 促進耐候性試験 2500時間)JIS試験規格」があります。例えば10年間に見立てて80%の劣化で合格します。
塗料メーカーももともと塗料の劣化を想定しています。たとえ超耐久の塗料でも永久消費財ではないのです。
以上、ここでは(基本的に)塗装だけ直る外壁の劣化について下記の現象についてご紹介しました。
- チョーキング現象
- カビ・苔の発生
- 塗装面のヒビ(クラック)
- 塗装面の剥離
- 塗装の変色(明らかに廻りと違う色合い)
ただし、下地の劣化や相性問題・塗装の仕方によっては、塗装工事をして間もないのに塗装面に異常が見られたという場合は、隠れた原因があるかもしれないので、注意して原因を確かめて対処する必要があります。
上記では、塗装だけで直る一般的な現象を説明しました。
しかし実際の現場では、複雑な環境・要因が絡み合い、一見大した劣化がないように見えても、サーモカメラなどで診断すると、実は内部で見えない劣化が進行していた。と言うケースもあります。
ですから、ご自宅の劣化状態が気になる場合は安易に判断せずに専門家の外壁診断してもらう方がおすすめです。
塗装では直せない劣化の種類(進行した劣化)
ここからは、塗装だけでは直せない劣化の種類についてご紹介します。下記に上げる劣化の場合は、塗り替えを行う前になんらかの処置対策を施す必要があります。
コーキングの劣化
一つ目は、コーキング(シーリング)の劣化です。
コーキングは、外壁と外壁の間にあるゴムのことで、水の侵入を防いだり、外壁と外壁の衝突を防ぐクッションになったりなど、建物の水密性や気密性を保持する役割を持っています。
コーキングの劣化の原因
コーキングの劣化の原因は、紫外線などによる材質劣化です。
紫外線や雨や風、温度の変化などにより、徐々にコーキング材が硬化し、ヒビや剥がれ、剥離などの現象が起きていきます。
コーキングが劣化すると、水密性や気密性を保持する役割を果たせなくなります。その結果、コーキング部分から雨水が侵入して、外壁材の劣化や雨漏りが発生してしまいます。
コーキングの劣化が起きたときの対処法
コーキングの劣化ののヒビ・剥がれ・浮きが起きたときの対処法は「シーリング工事(コーキング工事)」です。
すでに劣化したコーキング材を撤去して、新しいコーキング材を補填する必要があります。
(窯業系)サイディングの反り・変形
二つ目にご紹介する劣化は(窯業系)サイディングの反り・変形です。
外壁材自体が劣化して変形していますので、当然のことながら塗装だけでは直すことはできません。
サイディングの反り・変形の原因
サイディングの反り・変形の原因で、一番多いのは雨水の侵入によるサイディング材の劣化です。
塗装の劣化が起きると、そこからサイディング内部に雨水が侵入し、水分が溜まってしまいます。その結果、サイディングの変形「反り、割れ」が起こりやすくなってしまいます。
サイディングが変形すると、コーキングの亀裂などから雨水がサイディング内部に侵入します。内側の防水シートを雨水が通過すると、室内に雨漏りが発生するというトラブルが起こります。
サイディングの反り・変形が起きた時の対処法
サイディングの反り・変形が起きたときの対処法は、劣化具合にもよりますが「サイディング材の張り替え」などを行います。
2~3年前から産業廃棄物の処理費用が急騰(異常なくらい)しています。窯業系サイディングの廃棄費用も例外ではありません。
廃材費用・サイディングの材料費・施工費用から考えても、コーキングの劣化を簡単に考えていては、後々サイディングの張り替えなど高額な工事になる可能性があります。
建築基準法の改定されて、10年前の窯業系サイディングは種類によっては厚さが12ミリのものも多くありました。
現在は窯業系サイディングの厚さが15ミリ以上になっていますので、1枚だけの張替で済ませることができないこともよくあります。
コーキングの劣化は軽く見ないことが大切です。
外壁にできた大きなひび割れ(クラック)
3つ目にご紹介する外壁の劣化は、(塗装の内側にある)外壁にできた大きなヒビです。
外壁材自体が劣化してひび割れができていますので、塗装だけでは直すことはできません。
外壁にできた大きなひび割れの原因
外壁にできるひび割れの原因はいくつもあります。塗装の劣化から始まるひび割れもありますが、詳しい原因は専門家でないと判断は難しい現象でもあります。
先ほど挙げたヘアークラックという小さなヒビ割れの場合は下塗り材で埋めてしまうこともできますが、割れ目の深さ・幅が大きいひび割れはそれよりも深刻です。雨漏りや内部の建築材のサビなどを引き起こす可能性もあります。
天井点検口から見た、雨漏りの動画
下記は天井点検口からみた雨漏りの動画です。梁からの雨水の侵入の後、壁面に雨水が浸透してきています、ぜひご確認ください。
たとえ小さなひび割れでも、毛細管現象(小さなすき間には水分がより内部侵入する現象)により外装材の内部の水分がより内部へ侵入していきます。
その結果内部に侵入した雨水は、膨張・収縮することを繰り返すことにより、外装材の表面にできた小さなヒビが時間の経過とともにいずれ大きな亀裂やひび割れになります。
小さなひび割れ(クラック)は大きな亀裂・雨漏りの原因になりますので、見かけたら放置しないようにしましょう。
ひび割れが大きな場合の室内の様子
ひび割れが大きくなりすぎると、室内への負担大きくなります、この様に室内に雨漏れが起こる事があります。
外壁にできた大きなひび割れの対処法
大きなヒビ割れは、塗装しただけでは対処できませんので、下地調整の段階で、ひび割れ部分を補修しておく必要があります。
対処の流れとしては、ひび割れ部分を削り、削った部分にプライマーを塗布してひび割れ部分に密着するようにしておきます。その後樹脂などを注入して周りの外壁と見た目を合わせていくなどの方法があります。
板金工事の不備
4つ目は雨仕舞の不備による劣化です。基本的に、雨仕舞の不備による劣化は塗装工事では直りません。
上記の雨漏れの説明は、近年毎年のように上陸する台風・大雨によって破風板(※)に雨水が侵入している様子を、赤外線サーモグラフィー(熱画像)で説明したものです。
破風板の下部に雨漏れの様子が赤外線サーモグラフィー(熱画像)で現れています。
破風板とは、屋根の端の壁面のことです。下記は屋根の各部の説明です。
軒なし(軒ゼロ)住宅の事故の様子
最後にご紹介するのは、軒無し(軒ゼロ)住宅の雨漏れや劣化です。
この劣化も塗装工事では簡単には直すことはできません。雨仕舞も重要な外装の工事といえます。
以前弊社でご対応させていただいたK様宅では、数日間の大雨と強風の後、3階の外壁が落下したようです。その後も雨が降っていたので1階の室内は大変な水害になっていました。
軒のない住宅(軒ゼロ住宅)は、K様は特別ではなく軒無し(軒ゼロ)住宅は大阪市内はたくさんあります。
軒がないので鼻隠しや破風板から入った大量の雨水が今回のようにサイディングの崩落や慢性の雨漏れにつながるので注意が必要です。
以上、ここでは塗装だけでは直せない外壁劣化のよくある例を挙げました。もちろんこれ以外にも劣化の現象や原因はありますが、ご自宅で上記のような例を見かけたら放置せずに対処を検討した方が良いかと思います。
実際の現場で、外壁を調査したところ、塗り替えだけで考えていたお客様のうち体感的に半分以上の割合では外壁に塗装以外の処置をしなければならないケースがあります。
ですから、単純に塗り直しだけでなく、劣化の箇所や原因をしっかり把握して対応することが外壁塗装を成功させる秘訣であると考えています。
まとめ 外壁劣化の種類について
まとめです。今回は、外壁劣化の種類について、「塗装で直せる壁」と「塗装だけでは直せない壁の違い」について、下記の通りご紹介しました。
塗装だけで直る劣化 | 塗装だけで直らない劣化 |
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ここでご紹介した通り、実は塗装工事単体で修復できる範囲はかなり限られています。色々な建築材からなる建築物は塗料だけでは劣化は止められないこともご理解ください。
実際の現場では、一見大した劣化がないように見えても、サーモカメラなどで外壁調査をすると実は見えない内部で劣化が進行していた。と言うケースもよくあります。
ですから、安易に判断して放置したままにしておくと、後で大きな修繕が発生するケースもあるので注意が必要です。
弊社も大阪を中心に皆様のお家の外壁診断調査や、外壁塗装工事をさせていただいております。
もし家の劣化を気にしておられる場合は「ミズノライフクリエイト」もご検討いただけましたら幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。